プリセプターシップの現場(7)
[ プリセプターシップの現場 一覧 ]
看護部ブログ第2シリーズ第7回目は、透析室の水野眞澄科長です。
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10月に入り朝晩がめっきり涼しくなってきました。街路樹もだんだん色付きはじめ、山々がきれいに染まる季節になってきました。 はじめまして、透析室科長の水野眞澄です。 今回は透析室においてのプリセプターシップについて、ご紹介させていただきます。 技術を要求される透析室においての従来の指導は、先輩から後輩へ「技術伝授」に過ぎませんでした。先輩が自分のやり方を口頭で伝え、後輩がメモをするだけでした。 指導伝達するものの力量や方法によって、様々な指導が一つの部屋で繰り広げられてきたのです。 看護部でのプリセプターシップの取り組みをきっかけに、今自分たちがしている行為を自分の言葉で紙に残そうと始めたのが、透析室の手順マニュアルです。それ以降マニュアルを用いて統一した教育が出来るようにしました。 これが透析室の標準化されたプリセプターシップの始まりです。
≪透析室の特徴≫
患者様はそれぞれ月・水・金、火・木・土と週に3回来院されます。 透析室は当院の最上階の5階にあり、ひだり大文字もまじかに見え心地よい環境です。そういった環境の下、安心できる医療や看護を提供できるように、それぞれの患者様に対してテープの種類から、固定方法まで、患者様ご自身と共に考え、その患者様に一番あった方法を模索してきたりしました。医者・看護職者・臨床工学技師が集まって考え、より患者様との距離が近く、密度の濃い治療・サービスを提供するのが当院透析室の特徴です。
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透析室 | ひだり大文字が見えます |
≪最近の入職者≫
ピカピカの1年生が透析室に配属されることは、過去5年ほどありません。 看護師を20年経験して初めて透析室に配属になった方、他院で透析室勤務を経験されていた方などです。従って透析とは?を1から教えることはほとんどありませんでした。 採用後は経験者として、透析のノウハウについてなどは周知の上を前提に、1日目が始まります。しかし、採用者の不安や孤独感を考慮し、確認しながら指導していきます。また、看護師と臨床工学技師の他職種が配置されている透析室では、当然職種を考慮してプリセプターは同職種者ですが、指導の内容に関しては、他職種者が担当しています。 週に3回患者様とお会いするうちに段々と打ち解けます。また指導内容も3ヵ月も過ぎると、一通りのことが実施できるようになり、マンツーマン指導がほぼ終了となります。
≪透析室教育計画≫
(透析看護教育計画・PDFファイルです)
指導の項目は、本人の経験してきたスキルに合わせて進め、順番に学んでいくという教育計画があります。1週目を繰り返さなければならない人や、3週目には穿刺ができる順調な人までと、個人差があります。個人差のあるスタッフのスキル評価する時に、指導の項目を客観的に評価するものがなく、透析室の教育の長年の課題でした。 そんな中、今年の横浜の透析学会において、独自の自己評価チェック表を発表されたケースがありました。 その病院は院内の標準化された技術チェックの上に、透析室独自の評価表が重ねてあり、とても簡単にできていました。 腎臓の機能、透析の原理などの理解から入り、機能が解る、原理が言えるなど、本当に基礎からの自己評価チェック表でした。これを参考にして当院独自の工夫を加え完成させたいというのが目標です。 初心に戻り、何が分からないかも分からなかった時代。それを一つ一つ思い出して、分からなかった部分を分析できるようなものを作成したいと思います。
(透析室評価表・PDFファイルです)
≪将来の展望≫
誰が勤務しても、同じ技術、看護が提供できるように指導マニュアルを作成、整備し、よりよい看護サービスの提供をしていきたい、そうすることが患者様もほっとできる環境を整えて差し上げられることに繋がり、そのように出来る看護師にみんながなって欲しいと思います。 臨床工学技士においても透析室の機械の点検、メンテナンス、修理はもちろんのこと、院内の医療機器全般を管理し、医療機器安全に携わってもらいたいと思います。 透析室においては血漿交換、腹水灌流、アフェレシスなど新しいことをどんどん導入していく予定です。