看護部の新たな管理体制2-(2)
[ 看護部の新たな管理体制2 一覧 ]
こんにちは、1月の看護部ブログに引き続き、部長の高橋が担当でお送りします。
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2.病棟実務管理表
どのような職業・職場でも、ベテランから新人、常勤・非常勤職員などで組織が成り立っています。看護の現場でも同様です。また現在は、『WLB(ワークライフバランス)』が推進されていることもあり、時短職員の雇用も積極的に取り組んでいます。 以前に病棟の看護職員を配置するときに、病棟科長から病棟間のバランスが取れていないとの指摘がありました。各病棟の看護職員の人数は同じでも、看護師としての「経験」に偏りが有るという意見でした。特に医療の進歩や、患者様やご家族との対応に「経験」は貴重です。そういった意見を基にして、標準化した看護職員の配置が出来るように、平成20年9月より「病棟実務管理表」というツールで管理することにしています。
「病棟実務管理表」とは・・・
看護職員には、臨床経験として
・ | 一人の看護職員であっても、2人分の働きが出来る位経験豊富で当院の勤続年数も長い職員 | |
・ | マンツーマン指導が必要な職員 と様々です。 |
また、時短職員も労働契約時間により、看護職員としては一人であっても、毎月の勤務時間数は半分といった条件があります。こういった事を「数値」として管理はできないかと考え、人を「労力」として表現し、病棟の看護職員配置の標準化を図ることにしました。 「病棟実務管理表」では二つの定義付けがあります。
定義①:
例=「0.3看護師」
マンツーマン指導が必要な看護師の定義です。したがって新人も中途採用者も全て入職した月は「0.3看護師」からのスタートになります。その後の数字は、スタッフの業務の進行具合を報告書や勤務割り当て表を参考に、一人一人違った数値に毎月部長が評価します。 |
例=「1.0看護師」
休日・夜勤は一人の人員として配置できるとし、新人では卒後2年目の目標にもなっています。 |
定義②:時短職員を常勤職員の一月の労働時間から換算して表現しています。
例=「0.5看護師」
常勤職員の毎月の稼動時間数は、155時間になっているので、 80時間/月労働の職員は、80÷155=0.51で「0.5看護師」というように表現しています。 |
今では採用した職員の配置には、この管理表を基にして科長会議で検討しています。
3.接遇マナー強化の自己チェック
19年度から、看護部理念に向けた取り組みとして、接遇見直しをしてきました。気配り・目配り・心配りの出来る職員教育も、患者サービスに繋がる大切な事という思いからです。さらに言えばこれらのサービスにはコストがかかりません。また当時の患者様アンケートの一部に、当院看護職員への不満の声をいただきました。この貴重なご意見を参考にさせていただき、患者様やご家族、スタッフ同士、院内に来られる様々の方々に向けた接遇を強化し、各自の自覚を高めようと対策を立案しました。
対策
1) | 年間3回接遇強化月間を設ける | |
2) | 内容:「身だしなみ」「態度・マナー」「挨拶・言葉使い・電話の取次ぎ」に対する対応の強化 | |
3) | 方法:「身だしなみ」「態度・マナー」「挨拶・言葉使い・電話の取次ぎ」の個々の対応ポイントを決めたチェック表を用いて、自己チェックを2週間実施する | |
4) | 管理方法: ① 科長会からの指示に従って主任会が活動し、スタッフが自己チェック表に基づいて自分をチェックする。 ② 自己チェック表に基づき、スタッフを個別指導評価していく。 ③ 各部署の科長は、自部署の成績を数値で評価分析し、再度目標設定して看護部会に報告する。 |
≪過去3年間の接遇マナー自己チェック結果≫
20年度 | 21年度 | 22年度 | |
身だしなみ | 97.7% | 97.5% | 99.6% |
態度・マナー | 94.9% | 98.2% | 98.6% |
挨拶・言葉使い・電話対応 | 95.7% | 98..5% | 1月実施中 |
昨年度は看護部の目標に、接遇自己チェックの達成目標を95%とし実施しました。その結果目標の95%を達成し、今年度はより高い目標数値となるように活動しています。数値化した部署の評価は、看護部会で報告しています。今年度の結果は上記の表の通りです。 自己チェックのため、自己満足ではないかという意見もありますが、この取り組みを中心に活動している「主任会」がモデルとなる行動に努めることや、出来ていない職員へ指導など、意識が高まりました。 今後は、ますます向上していけるような取り組みが出来るように、デイスカッションしています。 管理していく上でベースになることは、相馬病院看護部の理念です。何らかの判断を求められる場合、「自分や家族が受けてみたい、受けさせたい心のこもった看護の提供」が基準となります。この理念に沿って管理をしていく上で、看護職員の数の確保は最大の課題でした。採用者に配慮した取り組みのおかげで、職員の定着率が上がり、看護の入院基本料も上げることが出来、少し余裕が生まれたように感じます。 これは今回ご紹介した以外の看護部内で管理している「数値」からも明らかで、結果として看護職員が働きやすい職場環境が整いつつあります。職場環境が整うことにより定着率が上がりましたが、今は「看護の質を高めていく」、理念や目標に沿った看護の提供に繋がるように日々取り組んでいます。 相馬病院は、地域住民の皆様の「かかりつけ」病院として、地域の皆様の健康を担うことを目指しています。従って看護部としても高度な看護技術を目標にすることは勿論ですが、「地域に密着した病院」として、常に看護部理念の「ホスピタリティ」を個々の看護観として、眼が行き届き患者様に寄り添った『心のこもった』看護の提供に重点を置いて行きたいと考えています。 今後もますます地域住民の皆様に信頼される、安全で安楽な看護を提供し、患者様に満足していただけるように力を注いで行きたいと思っています。