看護部の新たな管理体制2-(21)
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相馬病院看護部のブログをご覧の皆様、いかがお過ごしですか? 褥瘡対策委員長の中村珠美です。 今回は、相馬病院の褥瘡対策委員会の年間を通しての活動をご紹介させて いただきます。
<構成メンバー>
本院の褥瘡対策委員会は ・外科医1名、 ・看護部(外来・2階・3階病棟・透析・訪問看護ステーション)より計11名、 ・技術部(検査課・栄養課・薬剤課)より計3名の合計15名で構成されています。 H22年度から新たに技術部メンバーが加わりました。複雑な過程を経て発症している褥瘡(床ずれ)を、より専門的な目で見て知識を共有し、早期に治癒するようにアセスメントを繰り返しています。 今年度で3年目を向かえ、委員も意見を発することに少しずつ慣れてきました。チームという組織の輪が少しずつ広がっています。
<褥瘡総回診>
第1・3火曜日に褥瘡総回診としてラウンドしています。 今年度は、“各科の特性を活かし、チームとして現場と連携する。-褥瘡総回診でもっとディスカッション をしよう!”という目標を掲げました。 委員がDESIGN評価(褥瘡を評価するツール)をできるようにと、医師と皮膚・排泄ケア認定看護師が創部の評価を声に出して伝えています。そこに使用する薬剤の選択だけでなく、検査データーの分析や培養出しの必要性の有無、栄養の評価と改善策についてディスカッションして方向性を考えています。それらの結果は、 回診記録として現場へ伝達しています。当初、創面の評価が苦手であった委員も、近づいて食い入るように創面を見ている時もあります。観察して気づいたことをディスカッションに繋げる大切さを実感したり、評価や勉強になる処置方法を学べる機会になっている、また患者様の状態を総合的に見られるようになったという声が聞けるようになりました。目標に少しずつ近づいています。
<勉強会>
各部署でケアしている褥瘡を症例という形でまとめ委員会で 発表しています。それらの中から今年の6月には私立病院協会への発表に繋がりました。また技術部からはプチ勉強会として情報提供があります。 褥瘡とデーターと栄養をどう関連付けていくかを検討した回もありました。
<データー管理> 入院されている全患者様を対象に、「褥瘡に対する診療計画書」でリスクアセスメント(褥瘡が発生する危険性について考える)を行い、予防に努めています。また発生した褥瘡は入院時から発生している持ち込みか、院内で発生したものかを区別しています。そして転帰(治癒)した褥瘡の数も毎月報告しています。更に、褥瘡の有病率や推定発生率も数値化しています。持ち込み褥瘡が多い状況ですが、残念ながら状態の不安定な患者様の院内発生もあり、数値が高い時期もあります。 今年度の第2の目標に、“褥瘡院内発生ゼロを目指そう!”があります。最高82日の記録がありますが、 現在は止まっています。しかしまたゼロ日が更新できるように頑張っています。
<マニュアル整備>
褥瘡対策は委員だけが頑張っても結果が出るものではありません。やはりチームとして関わり、各部署の現場で、個々の患者様に応じたケアの提供ができるかどうかにかかってきます。統一したケアができるようにと、マニュアルの作成に取り掛かっています。
・院内で褥瘡に使用されている薬剤・使用方法・容量 ・褥瘡用語集
・在宅で工夫しているケア方法の紹介
が完成しました。 今後作成予定として、
・褥瘡記録方法 / データー管理
・マットレスの選択方法
等をあげています。
<備品管理>
リスクの高い褥瘡患者様へは高機能エアーマットレスを適宜使用することが可能となっています。 またウレタンフォームマットレスに関しては、老朽化(へたり)が進んでいますので、毎年定数の入れ替えが行われています。 今年度の第3の目標に“エアーマットレスの管理ができる。-移動時や停電時にチェックを行う-”と しています。訪室時、訪問時のチェックが必要となってきます。
<まとめ>
継続できて始めて活かされる褥瘡対策の現場では、委員が協力して積極的に活動する必要があります。 いつ、どの部署で、誰がどのような患者様を受け持っても、それぞれの患者様に応じた褥瘡対策が展開できるように、日々現場へ発信できるように関って行きたいと思います。今年度は、新たに2人目の皮膚・排泄ケア 認定看護師が誕生しました。 委員会のチームでの活動にプラスして、今後より一層専門性が活かせると考えています。