看護部の新たな管理体制2-(33)
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こんにちは。看護部長の高橋です。
9月の看護部ブログは予告通り、8月に引き続いてお送りします。
第2回目は「看護部目標に伴った体制の変更」についてご紹介です。
良質な看護の提供を目指すために、今年度のポイントは二つ「安全な看護」「看護の継続」です。
まずは「安全な看護」対策の取り組みのご紹介です。
今年4月の近畿厚生局の立ち入り調査で、インシデント(ひやりはっと)の報告件数が多いことを評価していただきました。
インシデント報告は医療安全対策の根幹をなすシステムです。その報告が沢山提出されていることは、ひやりとした経験を報告するということが文化となり、
重要アクシデント(医療事故)を予防する対策を講じるための情報の共有が出来ているということです。
しかし、報告することがきちんと出来ていても、同じミスを繰り返さないように、大きなミスに繋がらないように対策を立てなければ、せっかくの報告も形式だけのものになってしまいます。
人間は過ちを起こしがちですが、だからこそ「これはおかしい」「これでいいのか」という「気付き」「疑問」の感性を高める対策が必要です。
そのためには、年間で実施していた「KYT(危険予知)研修」を繰り返し実施することが有効だという従来からの考えを実行するため、
昨年度までの「RM(リスクマネージメント)委員会」を「看護部安全対策委員会」と変更し、従来の活動に加えて、
院内の事例やそれ以外からでも集めた事例を、「KYT研修」として部署単位で容易に反復して研修を実施する事にしました。
「KYT研修」以外でも、院内の安全キャンペーン活動の取り組みもします。自部署、他部署のインシデント報告を共有し、解決策を考えることで個人個人の意識の向上に繋げます。
「個人力」をレベルアップする事により長年の課題であった「内省する」「疑問に思う」「気付き」を更に深める狙いがあります。
次に「看護の継続」対策の取り組みです。
当院は「強化型在宅支援病院」「訪問看護ステーションそうま」「居宅介護支援事業所」を併設しています。
院内にも在宅療養・在宅での生活について意識が高まり、それぞれの利用者様も更に増えています。
その一方在宅復帰支援のために、職員自身が知識や意識・経験を高め、退院後の生活を見越した看護を入院早期から提供する必要があります。
これには従来からの看護の提供の意識の切り替えが必要となります。
また入院した時点から退院後の生活の相談をする必要があるため、
患者様ご家族様には追い出されるように感じて、余り快く感じないことかもしれませんが、決められた期間内に治療を終えて在宅生活が出来るように段取りや指導を受けるのですから、入院早期から始めることが必要になるのです。
「継続看護対策委員会」では、当ステーションの専門者をリーダーとして、このようなサービスが外来でも病棟でも、どの看護職員でも提供できるようなレベルアップする事を目的に新たに立ち上げました。
部署のリーダー等が委員となり、委員会から持ち帰り部署で活動していきます。また、訪問看護ステーションの職員から情報を得ることや、訪問看護に同行することで、入院中の患者様の看護を見つめなおし、学びます。
自分や自分の家族が、退院後の生活をどのように過ごすのか?と、看護部の理念に沿った意識で継続看護が実施できるように繋げたいと考えています。ここでも「内省する」「疑問に思う」「気付き」を深める事を目指します。
今年度の体制変更で大幅に修正したのは、従来の主任会議(主任・副主任の会議)を分散し、主任を新規の委員会の委員長に任命した点です。
これは主任会の活動力を活かして、リーダーシップを発揮し、部署から参加している職員と一緒に活動することで、更なる成長を促していくことが狙いです。
また、良質な看護の提供の一貫として、当院の看護の専門性を更に発揮するため、2名の皮膚排泄ケア認定看護師と看護部長で開催する認定看護師会も新規で立ち上げました。
院内・外来・在宅の褥瘡の方、ストーマをお持ちの方、自己導尿の方などの情報共有、現場の問題、褥瘡対策委員の打ち合わせ、院内研修開催で専門性の高い看護を目指しています。
将来的には、認定看護師のストーマ外来を設けるなどの相談窓口を持ちたいと意欲的です。
以上のように看護部の体制を変更することで、何度も繰り返しになりますが、「内省する」「疑問に思う」「気付き」が出来る、
決められたことを徹底して行うことが出来ることで、取り組みが不十分なものや成果が見えなかったものの強化をしていきます。
そしてこれらの活動が安全強化に繋がるように、体制全体を見渡し強化していきます。
このブログを書いているのは8月末。今朝の読売新聞朝刊は野球関連の記事が沢山載っています。
メジャーリーグのイチロー選手の4000本安打達成時のコメントは、「いつも続けていることをまた続けることがしんどいと思うことはあるけれど、そこは頑張りを見せるところ」という内容でした。
初出場の夏の甲子園の高校野球で優勝された監督の信条は「凡事徹底」。失策などでは怒らない。だが全力疾走やカバーリングなど、あたり前のことを怠れば叱る、だそうです。
あたり前のことを真面目に一生懸命に取り組んでいることは、地味な感じを受けるように感じますが、結果は美しく人に感動を与えてくれるように思います。
些細なことでも地道に徹底されている看護部を目指し、見守っていこうと改めてそう思いました。