看護部の新たな管理体制2-褥瘡対策委員会
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6月に入り、近畿地方も梅雨に入りました。通勤時に雨に降られたくないと思いますよね。
でもそんな時に紫陽花の色鮮やかさに目を奪われたり、レインブーツ(長靴)でおしゃれを楽しんだり、少しでも気分を晴れやかにしたいと思っています。
今月のブログ担当は、褥瘡対策委員会皮膚排泄ケア認定看護師の、中村がお送りします。
今回のブログでは、平成27年4月から新メンバーで活動を開始した褥瘡対策委員会の取り組みを報告させていただきます。
【構成メンバーと役割】
外科医師1名・看護部14名・技術部3名合計18名で構成されています。
医師は、褥瘡の診察・陰圧閉鎖療法や薬剤等の処置の指示を行います。
看護部の訪問診療・訪問看護担当者から各2名所属しています。病院から在宅へ褥瘡を有して退院される患者様がおられる場合、実際の褥瘡の状態とケア内容を月2回行っている回診を通じて情報共有することで、スムーズな連携ができています。
病棟ではリンクナースとなる看護師が、日々褥瘡リスクアセスメントを行い、褥瘡を発生させないように、鋭い目で患者様の全身をくまなく観察しています。その中に皮膚・排泄ケア認定看護師が2名おり、褥瘡に関するアセスメントを伝達し、専門性を発揮しています。
外来看護師は外来での観察から、必要なマットレス選択を行い病棟に伝達することで、入院していただく前に患者様に適したマットレスの準備ができています。
透析看護師は透析中も褥瘡発生しないポジショニングの工夫や、褥瘡を持っておられる患者様の管理方法を在宅と連携して調整されています。
技術部は、薬剤科・検査科・栄養科から各1名所属しています。
薬剤科は使用する軟膏の効能や使用方法のアドバイスを、検査科は血液データ(アルブミンやヘモグロビン)から褥瘡リスクのある方のピックアップを行い、栄養科は食事摂取カロリーの計算、栄養補助食品のアドバイスを行っています。
こうして、委員全体が連携し院内の患者様の褥瘡発生予防と褥瘡を持っておられる患者様が早期に治癒するように褥瘡管理を行っています。
【褥瘡院内発生ゼロを目指して・・・】
平成25年から「院内発生ゼロを目指して」を目標に、リスクアセスメントの徹底や記録の整備・マットレスの充足を行ってきました。院内のマットレスはすべて体圧分散機能のあるものに代わり、エアマットレスも必要な時に高機能式が提供できます。体位を保持するクッションも常備が増えました。その結果年々院内での褥瘡発生は減少しています。昨年度は最高で2ケ月半(82日)院内発生ゼロの期間を保てました。残念ながら発生したケースもⅡ度(真皮までの損傷)の浅い褥瘡で早期に治癒に至っています。
病棟では全入院患者様に皮膚の変化・トラブルがないか毎日観察しています。小さな傷でも見逃さないように全身をチェックし、記録に残しています。皮膚を健康に保つために、保湿剤の塗布や体位の調整も行っています。
褥瘡好発部位である仙骨部や大転子部の発生は減少していますが、踵部の発生報告がありました。骨折や手術後の安静時に圧迫がかかり発生したものと考えます。なぜ発生したか振り返り、意識づけを行って再発防止に努めています。
【褥瘡エコーの導入】
昨年度からの大きな取り組みとして褥瘡エコーの導入があります。検査科にポータブルエコーが配置されたのをきっかけに委員会でも活用を検討しました。エコーを導入することで、褥瘡の皮下(皮膚の下)の組織の変化が可視化できるのです。皮膚の表面が赤く変化していても、その奥(深部)では、さらに悪化していることも考えられ、深部組織損傷という褥瘡特有の変化が捉えられ、診断の助けになります。
まず検査技師による勉強会を委員会で開催しました。熱心で丁寧で分かりやすい講義の内容に委員全員が「ふむふむ」とうなずきながら聞き入ったものです。その内容の濃さから是非院内でも研修会を持つべきと、院内研修会も開催しました。初めは白黒の画像で線状に見えるものが、正常か異常か判断がつきませんでした。しかし何度か説明を受けると少しずつ見方がわかってきました。実際、深達度(深さ)が不明な褥瘡をベッドサイドでエコーにて見ることで診療の補助として役立っています。まだ症例件数が少ないので、今年度はエコー検査の件数を重ねていきたいと目標に挙げています。
褥瘡管理は看護部だけでなく院内の様々な職種が連携して継続して関わることが大事です。
委員会が回診での情報共有や毎月の委員会で意識づけを行い、現場へ発信していけるよう更にチームワークを発揮して、院内外問わず褥瘡を予防する看護、発生した褥瘡に対する看護の専門性を高める取り組みを継続していきたいと思います